2002/3


 3/31(日)
■国分寺で新二年生の授業が始まる。なぜか、全員女だ。何てこった。もうすぐすると、S高校での授業も始まる。そちらは男ばかりだ。
 3/29(金)
■春とはいえ、雨が多いなあ。
■台本は、第二稿が完成。

■そこで調子にのって、8月に演出をやる芝居の脚本を読んでみる。普段、他の人の脚本なんて読まないが、さすがに演出をやるのだから、と思い通読。ずーっと自分の台詞ばかり読んでいたせいか、台詞が新鮮で面白い。でも、どうやろうかな。
■ちなみに8月にやる芝居というのは、今はreset-Nにいる久保田さんと、昔よく出てもらった加藤さんの、ほぼ二人芝居。顔の濃い二人に頼まれたら断れないよ。脚本は、新井くん。といっても、二回ぐらいしか会ったことはない。まだ若い。上演にあたっては一つ悩んでいる言葉があり、ずっと気になっている。

■たまたま昨日のニュースで、性同一性障害の競艇選手が、会見で自分の障害のことを「病気」と言っていたので、また少し考えってしまった。このへんは、覚え書きに。
 3/26(火)
■母校である、静岡県立S高校から、創立80周年記念のCDが届く。もちろん、以前に希望をだしていたから届いたわけだが、そんなことはすっかり忘れていた。内容は、校歌と応援歌と、カラオケ。内容は当たり障りのないものだが、東京フィルが演奏していたりと、いやなかなか凄い力の入れようだ。恥ずかしながら、少し聴いてみる。おお、覚えてるよ、校歌。夏の暑い体育館で、先輩に応援合戦の練習で、必死に覚えさせられた記憶と一緒になってる。
■音楽と風景は一緒になって記憶される。
■私の場合、バブルガム・ブラザーズの「WON'T BE LONG」を聴けば、コンビニでのバイトと、カルピスウォーターの味を思い出す。理由は単純で、バイト中によく有線でかかっていて、店長がその横で歌いながらカルピスウォーターをよく飲んでいたからなんだけど。
 3/25(月)
■国分寺の授業は、新しい年度に入った。新しい顔ぶれ、気持ちが引きしまる。
■そういえば、この間から新聞をとりはじめた。とろうかなあ、と思っていたら、雨の中ちょうど新聞の人がきたので、そのまま朝日にする。断られることはあっても、「ちょうどよかった、今新聞とろうと思っていたんだ」と言われることは少ないんだろう。ひどく戸惑っていた。ビール券と、ドームの日ハム戦と洗剤をもらう。ネットで申し込んだら、何もくれなかったんだろうか。それにしても東京で一人暮らしを始めて10年以上たって、初めて新聞をとった。断ったのは、何回もあるけど。それにしても新聞というのは、すごい勢いで溜まっていく。何もしなくても、新聞だけは溜まる。時は流れていく。
 3/24(日)
■次回公演の出演者向けにワークショップをやろうということになっており、今日は初回。急だったこともあるし、他の芝居の稽古中の俳優も多く、集まったのは3人。それで何をやろうか迷ったんだけど、出来てたんだよね、台本。というわけで、男6人、女4人が登場する台本を、男3人で読む。ぐるぐる回して、誰の台詞かとか関係なく読んだものだから(おまけに初見!)内容把握に戸惑いを隠せない俳優たち。黒板に登場人物を書いて、人間関係を説明する。
■台本は、一人で読むより、俳優に声に出して読んでもらったほうが、弱いところや、加えるところ、削るところがよく分かる。それで今日は読んでもらったようなもの。おかげで、どこへ向かうべきか、把握できたし、はずみもついた。稽古始めまで、あと40日ほど。毎日考える。直す。それでまた、考える。
■それで稽古をやりながら、俳優たちとまた考える。この結果がみなさんに見ていただくものになる。はあ、そう考えると演劇というのは、本当に手間隙かかるよ。でも、それがいいんだけど。それに”手間隙”なんて書いたら駄目だね。嫌いなわけじゃないし。

■夜、モリエールへ。innerchildをみる。
 3/21(木)
■メキシコ映画アモーレス・ペロスを見る。渋谷のシネセゾン。面白いので、ぜひ見に行こう。
 3/19(火)
■ここのところ、基本的にずっと机に座り、脚本を書いている。学校は春休みで塾の授業も一週間、なんにもなかったからだ。作家らしいといえば、作家らしいが、嫌だね。こんな生活がずっと続くのは。
■サッカーの試合で選手が90分の試合中、実際ボールに触っている時間は数分だという。それと同じで、たとえ10時間脚本を書こうと机に座っていても、実際に台詞を書いているのは、ほんのわずか。だから、気分転換に何かをやる。
■これは人によって色々あると思うんだけど、インターネットで色々まわるとか、こういうところに文章を書くだとか、本を読むだとか。あ、読書は駄目だ、趣味の読書は向いていない。とたんに脚本のことを考えてしまうんだった。
■高校の頃、ある有名な物理の人が、気分転換に数学の問題を解く、ということを知り驚いた。

■先日書いた「ネット将棋」だが、これは最近手に入れた素晴らしい気分転換の方法だ。将棋の駒を見つめていると、頭の回路がほぐれてくるのが分かり、ひと勝負終えたあとはたいてい筆が進む。勝ったときと、負けたときでは、違いが出そうだけれど、これが全然関係ない。驚くほどない。集中力が増すので、ぜひお勧めしたい。
■それから、デザインすること。はっきりいって、絵を描いたりするのは全然駄目だけど、Webのデザインというのは本当に楽しいよ。夢中になれる。夢中になることが、30にもなっていくつもあるというのは、いいことだと思う。
■そうそう、この夢中になるということは人間にとって大切じゃないかと思う。特に「書く」という行為には。苦しくても、楽しくなくても、つらくても、夢中になって書こう。でも夢中になりすぎて、何かを犠牲にするってこともあるか。うーん。
 3/17(日)
■この週末は、大量の粗大ゴミを捨てる作業にあけくれる。トラックを借りて、夢の島へ。2t満載で、1万円ちょっと。ただし、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は引き取ってくれない。

■今進めている戯曲のことで、ちょっと知りたいことがあり、WEBで検索。管理人である名古屋大学の大学院生というTさんに質問をメールで送ると、ご丁寧に返信をいただく。詳しい原稿も別にいただき、インターネットのありがたさを感じる。

■暖かくなってきた。春である。
 3/12(火)
■青年団若手公演「S高原から」をアゴラに観に行く。天気がよく原付に乗っていても、それほど寒くはない。気持ちいいほどだ。

拉致疑惑のニュースを10chで見る。関与したという女性が、拉致された人の両親に、当時の様子をカメラの前で語る。「革命」などということを本気で思っていた、幼かったとはっきり言っている。言ったのは、日航機「よど号」乗っ取り事件のメンバーの日本人妻ということだが、何だか奇妙な画面だった。誘拐した(関わった)人と、誘拐された人(の親)が、19年経ってホテルの一室で時間を共にしている。まるで夢から醒めたかのような。

■人は夢から醒めたときに絶望か希望を感じることが出来るが、絶望のふりをしながら密かに抱く希望というのはやっかいだ。結局のところ希望とは逆の、絶望を考えることで希望を考えている。いや、それでしか行き着かないような気がしている。誘拐された側の両親は、いったいどんな心境だったのか。話を聴くことで何らかの希望を抱くことが出来たのか。
 3/11(月)
■部屋を片付けたり、CDを整理したり、電気スタンドを購入したりして、地味に過ごす。それにしても、CDのケースと中身が違う。二枚入っていたり、ケースだけあったり、本当に普段のずぼらさを後悔。聴いたら元に戻す、開けたら閉める。小学生の時さんざん叱られたよ、確か。
■夜、午前中にあった証人喚問を見る。
 3/10(日)
■S高校の卒業式。午後、池袋のサンシャインプリンスホテルで卒業祝賀会。来年度辞めていく同僚と会うのは最後のチャンス。それでまた結婚だという。体育教師と家庭科教師の職場結婚。いつの間にそうなっていたんだ。全然知らなかったよ。それで女性の方は学校を辞めるそうだ。やっぱりそうなっちゃうか。公立の学校でもやはりどちらかが移動になるようだし。
■彼女は「家庭に入ります」ときっぱりと言った。男が女に「家庭に入れ」と言えば、なんだか時代遅れのような印象を受けるが、女が自ら言うとそう聞こえない。時代に関係なく、根本的な欲望として、女性にはあるんじゃないか、こう「家庭に入る」幸せを感じる欲望が。こう書くと、『女性はもっと自ら奮い立たなくちゃいけない』と偉い大学教授などに怒られそうなんだけど。

■それにしても毎年卒業の祝賀会に出ると、お母様方のパワーには脱帽する。3年の担任なんて、おもちゃ扱いだもん。腕組んで写真とったり、ずっーっとビールを注いでくるし。隙がない。昼間のビールはどうしてまわるのが早いんだろう。
■誘われたけど二次会は行かず、家に帰り読書。

■なんとなく書ける気がしてきた。やっぱり書こう。”今”だから書こうと、少しだけ前進した。やっぱり色々な人に会う、それで何か楽になる。
■結局、何かを書こうとすると、あの事件が引っかかる。別にあの事件のことを書くとか、テーマにするとかじゃあなくって、ただ引っかかる。政治的宗教的な具体的なことじゃあなく、あの風景そのものが引っかかる。何を書いても嘘のようで、一回一回立ち止まる。それでも春を迎えるということに、妙に違和感を覚える。だから書くという選択も”あり”のようにだんだん思えてくる。
 3/9(土)
■中学の同級生の結婚パーティーで吉祥寺のStar Pine's Cafeへ。素敵な時間を過ごす。家に帰ると、別の同級生が入籍するとメールが届く。
 3/8(金)
■ドメインを取った。www.uniquepoint.org
■がサーバーはもとのままだ。転送をかけてあるので、アクセスするといつものページに自動的に転送される。サーバーの引越しはもう少し先だね。というか、別にいいか、やらなくても。とりあえずは。
■人間の引越しは、不用品の処理や整理の絶好のチャンスだが、サーバーの引越しも同様、ファイルの整理やら削除やらで膨大な時間がかかりそう。今そんな時間はない。気がつけば、ずっとPCの前に座っている。まるでいつまでもテレビを見ている小学生のようだ。「もう寝る時間だよ」と言ってくれる親もいない、何をやるでもなくダラダラ座っているのはよくない。これからは一日何時間までと決めて、本を読もうと思うのだった。

■本と言えば、最近書店に行くと、タイトルに「数学」の文字が含まれたものをよく見かけませんか?「連合赤軍」「タリバン」「チーズとかペンギン」「テロ」などに混じって、よく見かけるんだ。「数学」がはやっている。
■人はどうやら大人になると数学に興味が沸くのか。新橋あたりで「駅前数学」の教室を作るとどのくらいの人が受講するのだろう。前々から思っていたけれども、どうなんだ。

<語学>
・習得による成果が分かりやすい
・動機がわりとはっきりしていることが多い
・英検、TOEIC、TOEFLなどメジャーの検定試験がある

<数学>
・習得による成果はほとんど分からない
・興味はある場合が多い
検定システムがマイナー

■ちなみにS高校では、英検よりも、漢字検定に力を入れている。まあ、テレビのバラエティーなどでタレントが挑戦したりしているようだけど。

■ただ、コンピュータの普及と、混沌とした社会情勢の中で、はっきりとした論理体系を持った数学を学ぼうとする気持ちは少し分かる。ただ、それは高校までの数学の話で、大学に行くと、数学の世界はまるで変わってしまう。何だか手の届かないところへ行ってしまう。ある思考回路を逸脱すると、まったく分からなくなる。理論が人を拒絶する。
 3/5(火)
■この間の『水の中のプール』に出ていた俳優のKが、「ネットゴやるんです」と言ったことがあり、「ネットゴ?何それ」と聞き返した。何てことはない、「ネット碁」つまりインターネットで対戦する「碁」のことであった。
■最近ADSLも開通したので、それを思い出し試しにやってみた。「碁」はルールがよく分からないので「ネット将棋」である。どこの誰だか分からない人とやる将棋。これが意外と面白い、というか、とっても面白い。ゲームソフトなどで相手がコンピュータ(正確にはプログラムだけど)の場合と比べ、何となく人どうしがやっているという感じがする。まずミスをすることだ。これはゲームソフトでは考えられない。それから定石をまったく無視した将棋を指す初心者。これも「ネット将棋」でなくては得られない相手。そうやって色々な相手と幾度か将棋をやるうちにあっという間に何時間もPCの前で考え込んでいた。
■言うまでもなく、インターネットの発達は私たちの生活を変えつつある。それで新たな犯罪やトラブルも同時に生まれ、コミュニケーションのかたちも変化していていく。そういう変化はこれまでもあったはずだけど、「ネット将棋」なんてものをやると、実感として変化を感じずにいられない。
■こんな深夜に、ネットにアクセスして、将棋をやっている人がこんなにいるのだ、という現実とも仮想ともつかない空間。イメージではなく現実として顔の見えない他人がそこにいる。だけど話さない。将棋を通じてのみコミュニケーションが薄っすらとそこに見えるだけだ。
 3/4(月)
■午後、S高校へ。成績を提出。これで2001年度の仕事もすべて終わった。4月までの一ヶ月の休み。国分寺で授業を何回かやりながら、ゆっくり色々考えよう。
■夜、アゴラで打ち合わせ。
 3/3(日)
■午前中、渋谷で8月の公演の打ち合わせ。日曜の朝10時はやっぱり早いよ。

■アゴラへ。reset-N「黎明」。去年ユニークポイントの「青年の恋」に出ていた俳優が3人も出ている。
■何だか代表の紅白戦のようであった。試合に勝つことより、どうやったら自分が、自分が、といった感じで芝居になっていない。他者を信頼していない。みなこの間一緒にやっていた頃よりも魅力的じゃあなかった。外見の格好よさと内面の格好よさは違う。魅力的じゃあないということは、内面に葛藤がなく、だから格好悪く、他者と出会うという舞台俳優の使命と責任を放棄してしまっている。
■俳優は芝居は下手でも、外見が格好悪くても、内面に葛藤があり、他者と向かい合う勇気とささやかな冒険心があればいい。それに技術がプレスされたら怖いものなどないだろう。

■迷ったが、そのまま下北沢の駅前劇場へ。KAKUTA「東京鉄火青年」。これも「青年の恋」に出ていた俳優が出ていた。魅力的だった。一緒にやっていた頃よりも数段良かった。
■結局「青年の恋」に出ていた俳優7人のうち、4人の舞台を見たことになった。作品の感想ではなく、俳優への感想になってしまった。

■たまたまジンジャンの俳優Yさんも同じ芝居をハシゴしており、駅前でちょっと飲む。色々話す。大学の後輩でもあり、当時の話などをする。