2002/11-12


12/30(月)

■午後、音響の井出さんと今年の最後の打ち合わせ。スケジュールなどを確認して、すっきりする。美術、照明も全部終わっている。これで年が越せる。
■今回は小屋入り直前に、稽古場でもある埼玉の劇場で公開リハーサルがあり、せっかくやるなら、本番に限りなく近い通し稽古にしたいと、各スタッフにわがままを言う。美術はアゴラと同じものを再現、音響も旅公演のつもりで機材をいれ、照明もそれなりに吊る予定。快く協力してくれる各スタッフの心意気に感謝である。

■夕方、中板橋で、近文研朗読劇を見る。題材は芥川の「地獄変」。物語は分らないけど(原作を知っていたので、ある程度は分かったが)その分、余計に舞台に集中できる。言葉があれば、意味を追う。意味を追わずにいられると、とっても自由になる。そんなことを考える。とはいっても、ユニークポイントがやるのは会話劇だからな。意味が分らないと、観客はつらいだろう。表現について考える。

■夜、門前仲町の稽古場で大忘年会。フラジャイルの小里さんが声をかけ、風琴工房とユニークポイント関連の人が集まった。詩森さんの職人的大皿料理に舌鼓を打ちつつ、いろいろ話す。松岡さんなどは、忘年会だから、これまでのことは全部忘れる、などとダメぶりを発揮している。安木は相変わらず豚のように飯を食い、北海道から帰ってきた山路さんは、喉をやられていた。


12/27(金)

■午前中に歯医者に寄ってから国分寺へ。2002年の最後の授業を軽快に行う。これでお休みと思うと、その気がなくても、自然と嬉しそうに喋り出す。人間というのは不思議ですね。
■そのまま、門前仲町の稽古場に移動。急遽、俳優の山路さんが、北海道になんかの撮影に行くことになり稽古ができない。なので、今日は三村さんにワークショップをやってもらった。俳優が動いたり、歌ったりしているところを見ていると(自分も少し参加したけど)、年明けの稽古のアイディアがいくつか浮かぶ。
■今日は2002年の仕事納め。ふー、疲れた。


12/24(火)

■2月の公演の稽古が始まった。中板橋で、本読みを2回やる。
■稽古を始めるたびに思うのが、「どうやって芝居というのは作るんだっけな」ということだ。もちろん、できないわけではないのだが、ふとこんなことを毎回考えてしまう。
■今回は劇団になって取り組む始めての公演ということになるが、別に変わったこともない。いつも通りやるだけだ。

■それはそうと、稽古前、久しぶりに時間ができたので、念願の医者にいく。風琴工房が終わってから、約2週間以上、咳が止まらず、扁桃腺が腫れていたのだった。耳鼻科では、鼻からカメラを入れられる。気管が炎症を起こしているのだそうだ。抗生物質を処方される。飲むとすぐに効果がでる。市販の薬は全然だめだな。幾ら使っても医者の処方薬にはかなわない。ずーっと咳に悩まされてきたが、ずいぶんよくなる。喉の痛みもなくなる。
■それと歯医者。2,3日前から歯が痛くて、ダメだった。これもすぐになおる。偉大なる歯医者。ありがとう歯医者。これで2003年をすっきりと迎えられそうだ。


12/19(木)

■静岡の山荘に合宿に行ってきた。合宿とはいえ、とくにやることもなく、半分遊びだ。12月は遊びさえできないぐらい、バタバタしている。これは僕だけじゃなく、まわりの人もみんなバタバタしているので、これはもう日本全国、いや、世界中の人たちがバタバタしていると考えると滑稽だ。だから無理やりスケジュールをあけて、しばし休もうと思い、劇団員一同、山荘に向かったのである。

■かといって、何もしないのもあれなので、つい先日鈴木メソッドのワークショップに行ってきた、俳優の安木にワークショップをやってもらう。最初は1時間くらいかなと思っていたら、なんと4時間もやる。行く前に僕が稽古場で少しやらせたときには、誰よりもダメだった安木が、たった5日間のワークショップで、誰よりもうまくなっていた。こりゃ、他の俳優は焦るな。鈴木メソッドというよりも、ある技術を身につけてしまった人へ感じる焦りだ。何だか最近の安木は修行僧のようになっているような気がする。演劇人の知り合いにも恵まれてるようだ。まあ、それはそれでいい。

■夜はチゲ鍋をつつく。ここでも安木だ。豚みたいに飯を食う。そんなに食べなくてもいいだろうというぐらい食う。おかげで飯がなくなり、あわてて2合炊く。それで雑炊をつくる。山路さんは、寒いのに外で焚火を始める。こう焚火が好きだと、もうこれは焚火マニアと呼んでもいいだろう。人ぞれぞれである。僕は室内でコタツに入って動かない。
■飯食って、風呂入って、酒飲んで、蒔ストーブのそばで熟睡。幸せだ。

■帰り、用賀からの首都高でもの凄い渋滞。何とか帰り、すぐに仕事。仕事。
■来週ようやく稽古が始まる。


12/16(月)

■のどが痛く、頭痛がする。でも熱は出ない。どうも今年の風邪はこんな感じだそうだ。今まさにこんな状態であり、つい熱がないので、これまで風邪をひいている自覚がなかった。
■それにしてもなんだか忙しい。公演が終わってから、仕事仕事仕事の毎日。終わらない。成績はつけなくちゃならないし、それでも授業をやりつつ、公演準備、打ち合わせ。なんだかな。


12/9(月)

■最後のステージを終え、慌しくバラシ、アゴラの5Fで打ち上げが始まったのが、11時過ぎ。途中2時間ほど寝る。あと、朝方、7時から1時間ほど寝る。それ以外はずっと酒を飲んでいた。雪も降っているし、荷物も多く、かなり迷ったが、原付で帰宅することに。ちょうど電車が一番混んでいる時間だったので、強行。途中、1回、滑って転ぶ。左ひざを擦りむく。たまらず中野坂上で休憩。原付を置いてタウシーに乗ろうと一度は決意するものの、それでもあとあとのことを考えて、再び原付にまたがる。なんとか、1時間かけて帰宅。布団に入り、しばし眠る。

■風呂に入り、国分寺へ。久しぶりに授業。定積分であらわされた関数について。

■こうして、何事もなかったかのように、日々仕事をこなすのであった。来てくれた方、一緒に舞台をつくった仲間、お疲れ様でした。楽しかったです。


12/6(金)

■S高校で期末テスト前、最後の授業を終えた。本番をかかえながら、毎日学校へ通う日々もしばしお休み。最後の土日は、ようやく精神的にリラックスした状態で迎えられそうだ。
■と、こう書くと、これまでのステージは緊張して臨んでいたようだけど、別にそういう意味じゃあない。逆にリズムが出てくる。遅くまで寝ていることもないし、深酒することもない。毎日朝早く起きて、授業をしてから劇場へ。実は幸福な毎日であったと思う。

■さて、今日は6回目の本番だった。前回の水曜のステージから、全身の力が抜けた状態で舞台にあがれるようになっていた。これは、別プログラムの「精露路」に出ている増田君の、出番を待っている姿を見て真似たのがよかった。それまでは、楽屋の鏡に映る自分の顔を見て、色々考えて舞台に立っていたのだ。余計な力が抜けるとは、こういうこういう感じなんだね。舞台で発見することが、一気に増える。やっていて楽しいのはこういう瞬間なんだ。

■同じ舞台には出ていないけど、それぞれの俳優からもらうものは多い。こういうとき、その座組みはいい状態である。

■さあ、残すところ、土日の2ステージ。だからみんな観にこい。もちろんAプロもね。Aも含めるとあと4回だよ。


12/3(火)

■S高校で授業のあと、劇場へ。今日はAプログラムの上演日だが、受付スタッフがいないということで、急遽手伝いに行く。前半のセルロイドが終わり、後半の精露路が始まったころ劇場を出て自宅へ。今日は少し休もうと思うのだった。だから今日はここに文章が書ける。

■芝居は、昨日まで4回のステージを終えた。あとは、明日と、金曜と、土日の計4回。ちょうど半分のところまできている。期間は長いが、実際にステージに立っているのはそんなに多くない。

■回によって、舞台の出来に何らかのムラが出る。人間がやっていることだから、仕方ないといえば、仕方ないわけだが、出来が良くないとひどく落ち込む。もちろん、出来はいいにこしたことないし、落ち込んだところで仕方ないのだけど。これも経験だと思う。落ち込みながらも、切り替えができること。上演中でも細かな修正ができること。いつも授業で体験していることなのに、舞台でそれができない。これにいらつく。もちろん簡単に出来ることじゃないって分かるけど、もちろん。

■サッカーというスポーツが面白いのが、時間帯によって、いい時間と、悪い時間があり、ちょっとしたプレイが全体の流れを変えたりするところだ。いいと、試合にリズムが生まれ、悪いと、ダラっとした印象を観るものに与える。本当に演劇に通じることが多いよ。演劇とサッカーは。試合にリズムを作れる選手、例えば中田のような選手は、だから本当に凄いと思う。

■でも、いいリズムというのは、作ろうと思って出来るものじゃないんだよな。本当は。自然に生まれるものなんだよ。お互いへの信頼、一本の気持ちいいパス、スペースに懸命に走りこむFW、11人の選手の11通りのプレイが、繋がっていく。まるで1つの塊のようになっていく瞬間が確かにある。

■いよいよ後半戦。みんな観に来い。


11/28(木)

■長い一日だった。
■9時に劇場に入り、アップをして、それから稽古。13時からゲネプロ。それから稽古があり、19時から本番。

■と書くと、いつもの初日の様子と変わりないが、今回は俳優である。
■どのタイミングで歯を磨けばいいのか。どのタイミングで衣装に着替えればいいのか。どのタイミングで精神を集中していけばいいのか。それがどうにもこうにも、うまくいかない。したがって楽屋にいても全然落ち着かない。まず座っていられない。ひとかけらの落ち着きもない。

■それに今回、開演してから、まず「寄生植物園」という約1時間の作品の上演があり、さらに10分の休憩があった後、やっと出番がまわってくる。「寄生植物園」の上演中に緊張度が高まり、上演が終わった瞬間にそれはピークを迎える。それですぐに出て行ければいいが、それから10分の間があく。これが難しい。ピークを迎えた緊張は、どこかへ消えてしまう。おまけに、「寄生植物園」の俳優たちは、一仕事終えた安堵感とともに、楽屋にもどってくる。昨日など、共演者の陽介くんは、楽屋に戻ってきて、

「お客さんたくさんいるよ。燃えたね。」

などと、言ってくる。仕事を終えた俳優らしい、いい言葉だ。だが、出番前の私にはプレッシャーになる。

■やがて舞台監督がレシーバーを持って楽屋にくる。

「スタンバイお願いします」

心の準備が追いつかない。いよいよ舞台にあがるのだという実感とともに、急激に心拍数があがるのが自分でもよくわかる。とにかく、楽屋を出て、舞台袖まで歩を進める。暗闇の中、松岡さんに「よろしく」とだけいい、心臓の鼓動がまるで聞こえてしまうのではないかという不安にかられる。心拍数が上がっている。このまま倒れそうになるが、合図の曲とともに、舞台にあがった。

■この精神の動揺は、まるでリリーフピッチャーのようだ。いかに佐々木が、いかに高津が、凄いか分る。彼らは、出番すら、あるかないかの状況下で、集中力を維持しているのだから。

■とはいえ、無事に初日の幕はあいた。12月8日の千秋楽まで、やり遂げたい。だから、みんな来るように。


11/25(月)

■今日から劇場入りである。が、劇場へは行かず、学校へ行く。授業。
■夜は国分寺へ。授業。

■仕込み日に劇場に行かないなんて初めて。


11/24(日)

■昼から吉祥寺で稽古。詳しくは、風琴工房のサイトに書いているので、そっちを見てください。全演目ともかなり面白いので、観に来るように。


11/22(金)

■久しぶりに夜の時間、家で過ごす。
■昨日までかかって、サミットの演劇論「ism」の編集をやったのはいいが、自分の原稿をまだ書いていないという、まずい状況も解消された。たっぷり汗が染み込んだ衣装の洗濯も出来た。時間があると色々できるものである。

■忙しいと、ストレスを感じる。恐らくやりたいことがあるのに、時間がないからだ。僕の場合はどんなに忙しくても、やりたいことをやっている場合が多いので、あまりストレスにはならずに済んでいるけど。

■風琴工房の公演案内を、何人かの知り合いに出したが、結婚をしているやつがやたらに多い。どうもブームらしい。結婚してもいいから芝居を観に来い、と書いておこう。なんとなく。みんな来てくれるんだけども。


11/15-11/21 お休み

11/14(木)

■S高校で授業のあと、国分寺へ。授業。


11/13(水)

■S高校で4時間目だけ授業のあと、放課後まで仕事。
■放課後、軟式野球部の練習に参加する。たくさん投げて、ノックまでやる。ヘトヘトである。


11/12(火)

■S高校で授業のあと、ありたけの衣服を持って、門前仲町の稽古場へ。2回目の通し。
■衣装はあっさりと決まる。


11/11(月)

■S高校で授業のあと、国分寺へ。


11/10(日)

■昼から、ユニークポイントの稽古を中板橋で。
■あとは自主稽古にして、急いで門前仲町へ。風琴工房の稽古。
■帰宅後、5.5キロ走る。


11/9(土)

■S高校へ。土曜出勤。生徒も教師もいまいちテンションが低い。学校全体の雰囲気も、牧歌的。これはこれでいい。
■急いで、門前仲町へ。風琴工房の稽古。
■ユニークポイントのワークショップに参加していたものたちが劇団をつくった。サラダボールという。自分の稽古が終わってから、彼らの稽古場に遊びにいく。


11/8(金)

■S高校で授業。1,2時間目。まだ2年生は修学旅行だ。
■夜、国分寺へ。補習授業。
■帰ってから、5.5キロ走る。


11/7(木)

■S高校で授業をしたあと、国分寺へ。授業。2年生が新しい顔ぶれになり、やや精神的に疲れる。のどの具合もあまりよくない。すぐに帰っておとなしくする。


11/6(水)

■S高校で授業のあと(今週は2年生の授業がないので楽だ)、久しぶりにプールへ行く。寒くなってきたからか、人も少なく、思う存分泳ぐことができる。それから夕飯の買い物へ。
■しばらくして、詩森さんから何度も携帯に着信があったことに気付く。そうだった、今日は5時にチラシを中野まで持っていく約束をしていたのだった。100パーセント忘れていた。時間はすでに5時40分。すぐに自宅に戻り、チラシを持って劇場へ。先方にお願いをして、なんとか折り込みをさせてもらう。本当に申し訳ないことをした。最近はこのように「すっかり忘れる」ということが時々あり、困ったものだ。手帳を見る習慣がないので、少し前は有効活用を模索したが、結局ダメだ。あと、関係ないけど、ハンカチも持って出掛けたこともない。
■それはそうと、中野の劇場で作業中、先方の劇団はちょうど休憩中であった。作業スペースであるロビーで夕食の弁当を食べる劇団員。差し入れを持ってくるお手伝いの人。本番前の緊張感。どこの現場も似たような光景が広がっていると思うが、ひとたび休憩時間が終わり、劇団員たちが作業に戻っていくと、ロビーで残った2人の女性が真剣に恋愛の話を始めた。聴いてるこちらが恥ずかしくなるような話だ。「そんなことを俺のいる前で話すなよ」と思うが、まあ、折り込み作業をしている見も知らない人のことなど、そんな存在なのかもしれない。ただあまり気分がよくないので、自分のところでは気をつけるようにしよう。折り込み作業をしている人がいたら、ぜったいに私語禁止だ。


11/5(火)

■S高校で授業のあと、ク・ナウカに行くことを決める。
■夜、スズナリへ。3時間半の長丁場、でも飽きることなく観る。一見、ク・ナウカでないようで、正真正銘のク・ナウカ作品であった。満足して帰る。


11/4(月)

■S高校での授業を終え、国分寺へ。休日関係なく授業はある。積分の計算。


11/3(日)

■昼、ユニークポイントの稽古で中板橋へ。先週まで他の舞台に出ていた安木も戻り、全員で稽古。相変わらず、ある戯曲を立ち上げる作業。ゆっくりゆっくり。それからミーティング。
■急いで門前仲町へ。行くと、奈良ちゃんが大汗をかきながら掃除をしていた。ありがとう、奈良。稽古の様子は稽古場日記に書いているので、興味のある方はご覧ください。でもノートンのインターネットセキュリティーが有効だと、アクセスできないんです。詩森さん。


11/2(土)

■千代田区で、路上喫煙者から2000円をとるという条例がスタートしたそうだ。記事を読んで面白かったのは、「条例を知らなかった」「条例は知っていたが、ここが千代田区だとは知らなかった」という言い分には2000円をとらず、仕事前に一服していた塗装作業員からは徴収したということだ。塗装作業員は、仕事前から憂鬱な気分になっただろう。
■朝、通勤途中のコンビニで、缶コーヒーを買い、店の前でそれを飲みながら煙草を吸う習慣が僕にもあり、これが千代田区ではできないということになる。板橋区にも条例が施行されると、ちょっとまいったことになる。

■午後、アゴラでタテヨコ企画をみる。
■それから門前仲町へ。少し早く行って、共演者の奈良ちゃんと一緒に日本橋まで走る。たっぷり汗をかく。食事とジョギングは、やっぱり一人よりも、誰かと一緒のほうが楽しいですね。奈良ちゃんはペースが速いのでついていくのに必死でしたけど。やっぱり体育会系女優と呼ばれることはあるよ。奈良。


11/1(金)

■2年は修学旅行、1年は薬物講習(いったいどんな話を聴くのだろう)ということで、授業は1時間目だけ。
■掃除などをして、門前仲町へ。風琴工房の稽古。