2004/4

4/29(木)

■みどりの日。少し早めに行って、国分寺の紀伊国屋書店へ行くが、テアトロがない。ずいぶん前から探しているんだが。あるのは、「冬のソナタ」関連の本ばかり。しかしすごい盛り上がりってやつで、なんでこんなに人気が出るんだ。一度、NHKでやっていたのを、ちょこっと観ただけだから、わからないんだけど。


4/28(水)

■S高校で授業をして、都庁へ。大木さんと一緒に、助成金のヒアリング。いろいろ聞かれると思いきや、丁寧に申請書についてアドバイスをしてくれる都の職員。連休明けに、再度書類を郵送することになった。風が強い日で、よくこんな高い建物が揺れないものだと大木さんに言うと、「揺れたら怖いじゃないか」と返事。確かに、揺れたら怖いな。

■そういえばば、S高校は昨年度から校内が禁煙になってですね、職員の喫煙率がかなり高い学校だっただけに、どうなるかと思っていたら、みんな外で一服しているようであり、まったく格好悪いわけだが、これは生徒に「タバコはいかん」という教師が、タバコを吸っているのはダメだ、という上の意向らしい。ごもっとも。ただ、こういうことを言い出す人は、ほとんど非喫煙者なわけで、そういう人のこの論理は、なんだかうまく言い包められたような気がしないではない。
■一方、M高校では、タバコ部屋なるものがあり、タバコを吸う人にはオアシスみたいなところで、濃いお茶を入れて、休み時間などに外を眺めながら一服していると、本当に休憩しているなあ、と実感できるわけで、こういう気持ちは、タバコを吸わない人には決して理解できない感覚だろう。

■年金を未納していた、閣僚のニュースを見て、そんなことを思った。


4/25(日)

■昼からワークショップ。前回課題にしておいた、「演劇的に自己紹介」の発表。実は、2年前の「水の中のプール」のオーディションのとき、演出の倉迫さんが俳優に課した課題なわけだが、いろいろ面白いので、以後ワークショップの2回目でいつもやっている。基本的に、その人のプライベートを知りたいわけではなく、この課題へのアプローチを見たいという欲求。
■なにかの集まりでは自己紹介からその会が始ることが多いが、いつもあまり聞いていない。まあ儀式みたいなもので、とりあえず初対面の人がいれば、自己紹介からスタートするわけだ。この課題は、どうでもいいことを、どうでもなくやる、という正反対のふたつのことが同時に行われる、ここが優れている。
■それにしても、携帯電話がよく出てくるよ。14人いて、6人が携帯電話だ。どうでもいいことを、どうでもよくやっても仕方ない。ほかにいくつか面白いと思う発表はあったが、俳優としてのアプローチが感じられたのは一人か二人だけ。

■夜は、ファミレスで企画公演のミーティング。まとまらず。また次。


4/24(土)

■夜、高円寺に、Ort.d-dの「乱歩プレイ」を観にいく。那須でも観たけど、より企画意図がはっきりしていたと思う。遅くまで飲む。すっかり冷える。


4/21(水)

■S高校へ。昼をはさんで、2時間授業。教室を変更してもらった。

■夜、自宅で大木さんと助成金の書類作業。大変だ。


4/18(日)

ワークショップが始まった。早いもので、今年でもう4回目。12名でのスタートになった。初回はいつもどんな人と会えるのか楽しみでしょうがない。最初だったので、ゲームをたっぷりやって名前を覚え、そして創作の最初のプログラムをやって終わり。まだ参加者の本当の姿はわからない。どんな面白い人がいるかは、また次である。

■ジョナサンで7月の企画会議。俳優と企画を立ち上げつつ、普段とは違う話しができればと思って、意見交換。例えば、集団創作はどうか?という俳優の意見に、「興味がない」と答え、その理由について話す。こうすることで、演出家がどうやって今の表現に行き着いているのか、俳優は知ることになり、普段の稽古ではあまりしない話をすることになる。疲れるけど、必要な作業だ。演出家は俳優のことを知る必要があり、それ以上に俳優は演出家のことを知っておいた方がいい。のちのちの作業のために。それで、かなり無謀かもしれないが、俳優に演出をやらせてみようということになった。経緯はチラシにでも書くとして、こういう企画モノでなければ出来ない、かなりトライアルな公演になることになった。


4/17(土)

■シアタートラムで、reset-N「裸のランチ」。久保田さん、いいなー。

■夜、中板橋で、劇団ミーティング。3ヵ年計画の説明、秋のツアー概要などを話す。


4/14(水)

■S高校へ。今日から授業のはずが、行ってみると1年生は授業がないという。連絡くれよ。一度や二度のことではない。まあ仕方ないので、一度家に帰り、午後再び学校へ。3年生の授業。
■今年から選択科目が急増になったようで、教室の数が足りない。午後の授業も、もともと進路指導室だったような場所を改装した部屋であり、これがなんというか、狭い。通常教室の半分の幅。狭いにも種類があり、全体的にコンパクトであればいいが、どう考えても長方形。圧迫感があり、とても教室とはいえない。なにを考えているんだ。教務部長に早速文句を言い、次回から変えてもらうことにする。

■トリガーをKさんと一緒に観に来た、ソウルのもう一人のKさんからメール。来年、ソウルで交流事業をやらないか?と日本語のメール。内容はともかく、

拝啓
仲春四月、貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。


と最初にあり、なんとなく嬉しくなる。外国語でメールを書くのは大変だろうに。早くハングルをマスターしなければ本当に申し訳ない気分になる。


4/13(火)

■今日からM高校で授業が始った。1時間目は8時40分から。たぶん電車が一番混んでいる時間なので、原付で向かうことにする。M高校まではゆうに1時間以上かかり、もう少し暖かければ気持ちもいいが、今日は冷え込んでいて、凍えながら原付を走らせる。長時間乗ると、どうも腰の辺りが痛くなってくる。
■昨年の1年生は、いかにもフレッシュマンといった初々しさがあったが、今年の1年は、担当する2つのクラスともに、どうも「フレッシュさ」に欠けている。教室がどよーんとしていて、やりずらい。まあ、それでも1つのクラスは受けがよくって、盛り上がったわけだが、もうひとつのクラスは反応が鈍かったので、授業を進めてお茶を濁した。最初からあんなにギッチリと授業をやってしまってすまん。もう少し、心構えみたいなもの、自分の紹介などをしなければならなかった。

■助成金申請のため、来年の新作についていろいろ決めることがあり、ボーっと考えていたら、ふと「雨の一瞬前」という1996年に上演した作品のことを思い出す。作品としての完成度はうんと低かったと思うが、とても気に入っているタイトルでもあり、この作品を出発点にして新作にしようかなと思う。
■「雨の一瞬前」というのは、ある男が現実から逃避するために「倉庫のようなもの」に引きこもってしまう話しで、彼を現実に引き戻そうと、いろいろな人が訪ねてくる、そんな内容だったと思う(かなり曖昧)。新作も、男が現実世界から逃避しているところから始めよう。究極の逃避は自殺だと思うが、自殺はさせない。どうやって再び世界に立ち向かうのか、その過程を描こう思う。
■そうすると、男はどうして現実世界から逃避をしているのか、その設定を考える必要が出てくる。初演時のそれは8年たてば変えざるを得ないものであり、いま彼になにが起こったのか、考える。リストラ?そうじゃない。もっと自身の存在を揺さぶるなにか。そんなもの、あるのか。そして、希望、勇気を与えるなにか。あるのか、そんなもん。


4/12(日)

■東武練馬に「イン・ザ・カット」を観にいく。よくわからない。

■新学期に備えて、体力づくりの毎日。主にジョギング。


4/6(火)

■午前中の便で帰国。ずーっと寝る。スカイライナーの中でも引続き寝る。家に帰って、また寝る。ずいぶん疲れていたらしい。


4/5(月)

■2日目。11時にホテルで待ち合わせをしていたが、Kさん現れず。仕方ないので、山路さんと交代でホテルの周りをウロウロする。

■12時半、合流。昨日、やはり飲みすぎていたらしい。Kさんの車で海雲台というビーチへ。韓国を代表するビーチだそうだ。しばらく散歩して、昼はカニの醤油漬のようなものを食べる。

■再びKyungsung Universityへ。学生たちの稽古を見せてもらう。訊けば、稽古をしている男たちは、軍隊から帰ってきたばかりだという。やっている作品は、絵を描いて生活したい若者が、それでも就職をしなければならず、面接試験を受けようとするお話。韓国というと、もう少しアングラっぽいイメージが強かったけれど、それはもう少し上の世代の話し。若い人たちは、ほとんど日本と差がないと思う。だけど、軍隊を終えた男と、それより2つ3つ下の女が、同じ学年で同じ作品を創るという環境はやはり日本には存在せず、そのへんをもう少し訊いてみたかったが、韓国語が出来ない。

■演劇コースへは、トレーニングをしていないと入学できないらしく、日本でいう美術大学に似ていると思う。そのための高校生相手のいわゆる予備校のようなところに需要があり、Kさんも釜山にいるときには、高校生に演技を教えていたという。学生とはいえ、稽古を見ていると、訓練しているな、とわかる。ちょっとした動作がきちんとできている。おまけに男は軍隊生活を終えたばかりだ。表現する喜びが全身から溢れていた。

■その後、山路さんは大学内の劇場で上演している喜劇を観たいというので、別行動。Kさんと一緒に、車で山にのぼる。釜山の街を一望。山道にはずーっと両側に桜が植えてあり、これはなにかの記念で、植えたのだろう。満開。下山し、山路さんと合流して夕食。サムゲタン。これがとにかく美味い。ガイドブックには載っていない、中心部から少し外れた場所にある、家庭的なお店だった。

■ふたたび大学周辺に戻り、居酒屋へ。Kさんたちの教え子たちがすでに集まって飲んでいるらしく、そこへ合流。女の子3人組。妙に慣れ慣れく、一瞬その手の店かと思ったが、ただ酔っ払っているだけだった。すでに焼酎を5本も飲んだという。どうなっているんだ、まったく。こちらでは焼酎はまず割らない。ストレートでグイッとやる。遅れて、昨日一緒にカルビを食べた劇団のメンバーも加わり、大変楽しく飲む。Kさん、必死に通訳。人数が多いので、英語も使う。

■11時頃、彼女たちと別れて、二軒目へ。今度は男だけで怪しい屋台バーのような場所。マッコリというお酒。サイダーと甘酒を足したような味。ひどく悪酔い。いわゆるお通しには、カイコの佃煮が出てきた。気持ち悪いが食べてみると、「虫」の味がした。深夜3時半、タクシーでホテルへ。


4/4(日)

■文化庁の招聘で来日中の釜山の俳優Kさんとは、昨年の「カンガルーと稲妻」のときに知り合い、この間の「トリガー」の稽古場で話しをしていたら、4月に一時帰国をするというので、釜山で会うことになった。

■午後の大韓航空で釜山へ。夕方4時、金海国際空港。HISのパッケージで申し込んであったので、現地のガイドと一緒にタクシーでホテルへ向かい、チェックイン。

■7時、Kさんがホテルに迎えに来てくれる。まずは観光。ホテルから歩いてすぐのチャガルチ市場を歩き、名物料理のコムジャンオグイを食べる。美味。お腹もいっぱいになったところで、ふたたび街の中心部へ。新宿のような街なみ。スターバックスでコーヒーを飲み、バスでKさんの出身大学、Kyungsung Universityへ。しかしこちらの運転手は、いわゆる「荒い」運転をする。バスの運転手も例外ではない。

■大学でKさんの劇団メンバーと待ち合わせ、大学内にある劇場を見せてもらう。釜山では、大学の演劇コースを出たあとに、劇団に入るというのが一般的のようで、卒業後も結びつきが強いようだ。実際、彼らの一人が、この劇場の管理をしており、そのおかげで見ることができた。劇場は、日本にはあまり存在しない、野外劇場を室内に作ったようなイメージだった。ものすごく立派。これで一日2万円ほどだという。

■大学のまわりには、日本と同じように学生街が広がっており、その一つの店で、カルビを食べながら、いろいろ話す。日本の演劇事情、ユニークポイントの作品について意見交換。Kさん、必死に通訳してくれる。午前1時、タクシーでホテル。熟睡。


4/3(土)

■授業を終え、明日から釜山に行くのでその準備。主に、劇団の資料など。結局バッグ一つ。


4/2(金)

■セ・リーグが開幕。ここ何年か家にいなかったので、久し振りに開幕ゲームをテレビで観る。ひどいジャイアンツの投手陣に呆然。なにも変わっていない。

■昨日から24というドラマを、深夜3話ずつ放送していて、観始めてしまった。完全に計算されたシナリオで、「もう一話だけ」という気にさせられる。見事に製作者の意図に引っかかっている。「くだらない」と思えばそれまでの話だけど、観る。コレクターの心境と近いのかもしれない。

■洪さんが、プロフィールなどを韓国語に翻訳してくれた。自分のプロフィールが外国語になると、国際人になったような感覚になる。