ロゴ 
ユニークポイント公演『しるし』 作・演出 山田裕幸


あの車列はいったい何処へ向かうのだろう
青白い光にさらされた、ひりひりとした生の実感
目を閉じて思い出す、宇宙とちょうど同じ深さの夜の闇を


   公演スケジュールキャストチケット予約チラシテキスト

あの車列はいったい何処へ向かうのだろう
青白い光にさらされた、ひりひりとした生の実感
目を閉じて思い出す、宇宙とちょうど同じ深さの夜の闇を 


い先日、女子大生と芝居をつくった。早速ブログで稽古の様子を学生が書くことになったのだが、個人の特定を避けるためか「個人の名前は名字ではなく、下の名前をカタカナで書く」というルールを決めていた。確かに時代の変化といえばそれまでの話しだが、この決定に私はかなりの違和感を覚えた。それからしばらく、その違和感の原因を考えていたのだけれど、最近の小学生にまつわる事件や、対応する保護者や学校の対応を見ていて、これはつまり「他人を信頼しない」というのが、私たち社会の基本的な姿勢になりつつあるのではないかと考えるようになった。だからといって「他人を信頼しよう」などと声高に叫ぶつもりはないし、個人情報が漏れる恐ろしさも日に日に実感する身だが、信頼したり、されたりすることが「いいこと」だと教えられてきた者にとって、やはりどこか寂しい気持ちはする。



後、ますます仮想空間が肥大化し、情報があふれ、個人の相互信頼はなくなっていくだろう。それに歩調を合わせるように「死」への現実感も失われていっている気がする。人類は色々な方法で「死」と向かい合ってきたと思うが、もはやそのどれも信頼に足らないとなったら、私たちは一体なにを信じればいいのだろうか。そんな思いを胸に、この作品をつくりたいと思う。

山田裕幸



前回公演『脈拍のリズム』劇評

脈拍のリズム
重いことばのやりとりを2人の俳優はリアルに演じた。感情の起伏と機微が活写され、やり切れない想いが私の中にこみあげてきた。周到な布石と精緻な描写による終わりのない日常が切ない。
(山関英人/週刊金曜日2005年9月23日号より)


今年度のテアトロ新人戯曲賞を受賞した山田裕幸の新作『脈拍のリズム』は感動作だ。現実の重さ、苦しさが切迫し、人物のきめ細かい内省が胸を打つ。作者の力量を証明する作。
(浦崎浩實/テアトロ2005年11月号より)
Copyright(C)uniquepoint.All rights reserved.